飲食店やホテル、百貨店などさまざまなサービス業が存在しますが、いずれにおいても重視されるのが、接客の質です。接客では個人の資質が大切だと思う人も多いかもしれませんが、実際は笑顔や話しかけやすさ、明るい雰囲気などの個人的な資質と同じくらい、接客の技術が重要です。その接客技術を磨く上で接客マニュアルがポイントとなります。ここでは、接客マニュアルを作る際に知っておきたいことについて紹介します。

マニュアルとは

「お手本」を丁寧に記したものです。接客のマニュアルはお客さまが来店してから退店するまでの間、スタッフが則るべき行動について示されています。さらに言えば、どういう場面でどういう提案ができるか、接客をする上で身につけておきたい言葉遣いや表現などが例として挙げられていることが多いでしょう。統一された接客を提供するには接客マニュアルがあるかないかで大きく変わってきます。

マニュアルには接客をする上で身につけておくべき言葉遣いや表現、状況に応じた対応などが例として挙げられていることが多いでしょう。加えて、不測の事態が生じた場合の対処方法も書かれているものも多く、非常時にどう対応できるかは、こうした接客マニュアルを作っておくことで落ち着いた対応が可能となります。

なぜ接客マニュアルが必要か

接客はサービス業にとって非常に重要な技術ですが、どの店舗で誰がサービスしても同じ品質で接客を提供できるようにすること、つまりサービスの標準化は属人的なやり方だけに頼っていると教えていくのは大変です。そんな接客のコツや店舗によって違うルールをマニュアル作成する過程で標準化することが、とても大切です。

また接客マニュアルがあることよって、新人教育や新人育成の強い味方になります。標準化された内容だけではなく、その接客マニュアルには対象となる店舗や現場において過去発生してきたイレギュラー発生時の対応方法や、対象となるサービス、業種、売り場に応じたノウハウを接客マニュアル化することで、接客する側の接客技術向上のベースとなってくれます。

接客マニュアルを作るために必要な項目

接客マニュアルを実際に作成するに当たって必要な項目は、飲食店なのか百貨店なのか、ホテルなのかなどの対象のお客さまやシーンによって異なるでしょう。ここでは、基本的な4つの項目について説明します。

身だしなみ

接客において身だしなみは非常に重要です。第一印象は見た目で決まるとも言われているため、清潔感のある見た目を心がけることは接客業において不可欠です。制服がある場合は、制服の正しい身に付け方についても説明します。イラストがあるとより分かりやすいでしょう。また、髪型や髭、化粧、ネイル、香水や整髪料などに関しても細かく注意事項を設けている場合もあるかもしれません。共通認識としてマニュアルに記載しておけば、いつでも確認できます。

言葉遣い

敬語に関してだけでなく、どういったシチュエーションでどういう言葉を使用するかを具体的に記載しておくと良いでしょう。お客さまが入店したら「いらっしゃいませ」、何か探していそうな雰囲気なら「何かお探しでしょうか」「よろしければお探ししましょうか」といった、業務の基本的な流れに沿った言葉は記載しておくと、入社したばかりのスタッフもすぐに実践できます。

商品知識

サービスを提供する側としては、お客さま以上に商品の知識を持っている必要があります。商品知識やそれを伝える話術は接客において非常に重要です。そのため、最低限知っておくべき商品知識についてマニュアルに盛り込んでおきましょう。お客さまに質問された内容が分からなかった場合、どこに確認すれば良いのかも書いておくと安心です。

クレーム対応方法

基本的なクレーム対応についての流れを記載しておきましょう。クレームを受けた際は迅速に対応する必要があるため、マニュアルを見ればすぐに分かるよう表記する必要があります。これまでにクレームを受けた内容や最適な対応についても盛り込んでおくと、同様のクレームがあった際に生かせるでしょう。また、クレームを受けた後の報告についての流れも示し、クレームを共有する仕組みを作っておくことも重要です。

マニュアルはより良い接客を目指し、
常にアップデートしよう

接客マニュアルを主に参照するのは、経験の浅いスタッフです。そのため、マニュアルは、誰でもわかる、誰にでもできる内容になっているかが重要です。作成したマニュアルを読み返し、初めて接客を行う人でも理解できる内容か確認します。また、一度作ったマニュアルも時が経過すると時流にそぐわないこともあるでしょう。時代に合わせてマニュアルを変えていくことを視野にいれて運用することが大切です。