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美容部員研修のプロが教える新人教育のポイント

接遇を求められる理由&接遇スキルの磨き方

華やかなイメージの美容部員(BA、ビューティーアドバイザー)ですが、接客マナーや商品知識の習得に加え、タッチアップやメイクアップの技術など、覚えることは多岐にわたります。
「未経験者を即戦力に育てたい」「販売力のある美容部員を育てたい」と思っても、具体的に何をすればよいか分からないというケースもあるのではないでしょうか。
伊勢丹発のラグジュアリーコスメのセレクトショップ『イセタン ミラー』の運営により培われたノウハウをもとに、独自の教育プログラムを構築してきた三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズの教育のプロが、美容部員の新人教育について解説します。

今回、美容部員研修についての解説をするのは……

株式会社三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ
美容部員教育担当者

「美容部員の仕事は人にしかできないと考えています。ぬくもりや意外性で、お客さまに素晴らしいコト体験を提供できるように」

美容部員の新人教育における
課題と、研修の目的

美容部員は、直接お客さまと接して商品の価値やそのブランドがもつ世界観をお伝えするのが役割です。商品知識だけでは、商品は売れません。「お客さまへの伝え方」を工夫することではじめて売り上げアップが期待できるようになります。
「メイクが楽しい」「コスメが大好き」という気持ちから美容部員になった人も、商品をお勧めするにあたって、自分の「好き」だけではお勧めはできません。お客さまとの対話から何を求めているのか、その背景を探り、お客さまへのパーソナライズな提案力を養う必要があります。

また、新人教育では新人全体のボトムを合わせることが大切です。それが企業として、ブランドとして、お客さまから信頼を得ることにつながります。

三越伊勢丹が考える
優秀な「美容部員」とは

当社の考える優秀な美容部員は、これは美容部員に限ったことではありませんが、お客さまからご指名をいただける美容部員と考えています。

優秀な美容部員は「乾燥肌で悩んでいて……」というお客さまに「乾燥でしたらこちらですね」と保湿クリームをお渡ししません。
このような対応では、お客さまは何か相談するたびに商品を勧められるに違いないと感じ、本当のお悩みを打ち明けてもらえることはないからです。
最終的にお客さまに「悩みを親身に聞いてくれた」「楽しい買い物だった」「またこの人に相談したい」と思っていただけるのが優秀な美容部員です。それができるスタッフには自ずとお客さまが付いてくるものです。

「イセタン ミラー」の優秀なビューティースタイリストたちは、商品知識やメイクアップの技術はもちろん、お客さまに寄り添う姿勢で多くのお客さまからご指名をいただいています。
お客さま一人ひとりに合わせて、商品のどの部分がお客さまのお悩みを解決し、ご興味に響くのか、知識と経験をもとにご提案をします。そうすることで商品知識がより深まり、説明の表現にも幅ができ、お客さまとの信頼関係にもつながるという好循環を生んでいます。

美容部員の新人教育におけるポイント

美容部員は、お客さまとの距離がとても近い仕事です。
お客さまに安心してお買い物を楽しんでいただくためにはコミュニケーションの基本である『応対』が重要です。そのうえに、美容の専門知識・商品知識やブランドの魅力を伝えるための『知識』を習得します。さらに、それらをお客さまに対して効果的に表現できるように『技術』を体得します。
この3つをバランス良く、レベルに合わせて教育することが重要です。

応対

美容部員はお客さまの肌に直接触れ、時にお客さまのパーソナルなお悩みにも接します。
その商品の、ブランドの顔として、この人になら悩みを打ち明けても良いと思っていただけるように自分を見せるにはどうしたらいいかなど、常にお客さまの側に立った視点を、マニュアルだけでなくマインドを醸成することにも重点をおいています。
マニュアルで伝えられるのは、「身だしなみ」「所作」などの基本的な接客マナーですが、美容部員は他業種にはない“細やかな配慮”や“いたわりの気持ち”が必要です。
昨今は、コミュニケーションを取ることに苦手意識を持っている方がスタッフに限らず、お客さまにも見られる時代です。そのような中でコスメにかかわるお悩みを円滑に引き出していくために、研修ではネガティブなワードを使わずお悩みについて受け答えする方法など、具体的に指導しています。

知識

知識とは、専門知識、商品知識、業界知識と多岐にわたります。
今の時代は検索することで簡単に情報が手に入り、お客さまも専門家ほどの知識をお持ちの方も多くいらっしゃいます。美容部員は美容のプロとして根拠のある確かな知識をもとに、お客さまの最適を導き出すことが求められます。そのためには知識のインプットだけでなく、アウトプットを教えることも重要です。
商品を売るためだけではなく、そのブランドを体現できる人、コンセプトやブランドストーリーを語れるような人になるための教育を行います。

技術

美容部員に求められる技術は、対面でこそ表現できます。
今は通販でも商品は購入できますが、実際に試して触れて、効果を実感して、商品の価値を納得していただく、これは通販には難しいことです。
メイクアップアイテムでは、お客さまの隠れた魅力を引き出し、お客さまが使ったことのない色味や組み合わせなどの意外性を提案。
スキンケアアイテムでは、今のお悩みの解決だけ終わらせず、5年先も理想的なお肌の状態であるための提案。
美容部員は五感を駆使してお客さまの最適を紹介し、この人に接客してもらわなければ気づけなかった!とお客さまの感動を引き出す仕事でもあります。
感動を引き出すタッチアップを身につけるには場数を踏むことが重要ですが、ロールプレイングで優れた接客を体感してもらうことも欠かせません。当社では、商品ではなくベネフィットをお持ち帰りいただきましょうと指導しています。体験した感想で終わらせず、翌朝のお肌の状態など、それを使うとどうなるかイメージしてもらうことを教えています。

美容部員研修の教育メニュー

三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズでは、さまざまな企業に研修サービスを提供しています。ここでは「イセタン ミラー」で行っている美容部員研修の教育メニューを例としてご紹介いたします。

「イセタン ミラー」では新人として店頭に立つまでに、約2カ月間の研修期間を設けています。研修期間中はOJT期間も設け、研修で学んだことをアウトプットできているかを確認することも重要なことポイントです。

研修メニュー例 内容
化粧品知識 化粧品知識 座学で、肌の仕組み、皮膚の構造から肌悩みの原因と解決策、商品知識を身に付けていきます。
社会人基礎・接客技術 社会人基礎・接客技術 挨拶や身だしなみ、言葉遣いにはじまり、商品をより良く見せるために必要な所作、お辞儀の仕方などを、ロールプレイングを交えて体得します。
タッチアップ技術 タッチアップ技術 イセタン ミラーでは40種類以上のコスメブランドを扱うこともあり、幅広い客層に対応でき、さまざまなアイテムを使いこなすためのタッチアップ技術を身につけます。

一流の美容部員を育てる
プロのノウハウ

私たちは美容部員の新人研修を実施するときはいつも、彼女たちに長く美容業界で活躍してほしいと考えています。
「コスメが好き」「人をきれいにするのが好き」と入社する新入社員は多くいます。しかし美容業界は決してやさしい世界ではありません。「思っていたよりも化粧品を売るのって大変」「思い通りにいかない」と壁にぶつかることもあります。

入社時の研修では応対、知識、技術の基礎を学びますが、現場に出ると研修で習っていないことも多く起こります。そのような場面に遭遇したとき、新入社員が想像していたものと違っていたとギャップを感じることがないように、研修ではできる限り実際に現場で起こりうる事例を取り入れてカリキュラムを進めています。

美容部員とは、ほかの職種に比べて高いコミュニケーション力を求められ、膨大な知識を備え、技術を身に付けるという極めて稀な職種であると思います。
常に技術を磨き、身に付けた技術を活かして“手”を通して働く喜びを感じてほしいと思います。そして、仕事を通して喜びや楽しみ感じ、自信や誇り、生きがいを得てほしいと願っています。

企業が美容部員研修を
外部委託するメリット

専門的な知識を持ったうえで、お客さまにどのように寄り添えばよいのか、何を勧めるのか、商品の見せ方、お客さまの肌への触れ方、お悩みにかかわる言葉の選び方など、美容部員の教育・研修はナレッジがないと始まりません。美容部員の研修はプロに外注委託することで、効率的にタッチアップの技術や接客サービスの品質向上、未経験者の戦力化を図ることができます。

企業さまによっては、美容部員の教育を専門とする部署や担当者が置かれていることもありますが、教育担当がおらず、販売に課題を抱えている企業は数多くいらっしゃいます。

教育担当の代わりに、商品開発の部署が資料を作成し、スタッフ各自でそれを読んで学ぶという企業さまがいらっしゃいました。その結果、自分なりの解釈を加え販売につなげられるスタッフもいますが、サービスにばらつきが出てしまい、お客さまにブランドとしてご満足いただくことができていませんでした。そこで私たちはマニュアル作成と集合研修をご提案しました。導入された企業さまは、その後すべての店舗でサービスのレベル均一化することに成功し、お客さまにより一層ブランドのすばらしさをお伝えすることができたそうです。

美容部員研修は、エステティックサロンの研修、外国人旅行客の対応のために採用した外国人スタッフの教育、ECサイトでコスメを販売していた企業が実店舗を展開する際のスタッフ育成などでも導入されています。
また、当社では人材派遣も行っており、事前に開発の背景やコンセプト、ターゲットなど、情報をいただいたうえで、派遣するスタッフへの研修も行います。ECサイトが実店舗を展開する前段階として、ポップアップ店舗やイベントを展開する際などにも、百貨店クオリティの美容知識と技術を持ったスタッフを派遣いたします。

三越伊勢丹の美容部員研修・教育
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