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接客ロールプレイング大会へ思いを馳せる

皆さまは、接客ロールプレイング大会をご存じでしょうか?「知ってるよ」「出場経験があるよ」「初めて聞いた…それって何?」など、コラムの画面の前から様々な声が聞こえるようです。

接客ロールプレイング大会とは…?
店舗で接客するスタッフが、他店舗のスタッフと接客の技術を競うコンテストです。 多くの場合、実際の接客場面を想定したシーンで接客を行い、その対応力を審査員が評価します。

昨年は残念ながら大きな大会はほとんど中止されましたが、毎年会社や施設の仲間や家族の温かい応援を背に、プレッシャーや緊張の中、これまで磨きをかけてきた接客を披露し、競い合った場面が目の前に広がります。
私が接客ロールプレイング大会関連の教育指導に関わらせていただくようになったのは、弊社設立の2009年からです。当時は接客ロールプレイング大会への関心や人気が高まり、小売製造企業ごと、またデベロッパーごとの大会開催が拡大の一途でした。それから12年、人気や関心は衰え知らずで、多くの方に支持されています。なぜ長い間指示されているのか、その理由を明らかにしたいと思います。

<1>他者の接客を見ることができる
他者の接客をじっくり見る機会はほとんどありません。多くの人の接客を見ることで、それまでに受講した研修項目や内容を目で見て確認することができるので理論や技術の理解が進みます。また自分の接客の強み弱みの気づきにつながります。

<2>判断力、対応力が上がる
飲食食物販業種、サービス業種であれば5分間、その他物販業種であれば6分間という短い時間でお客さまに商品を購入していただくことを目指すロールプレイング。短い時間の接客を練習することで、お客さまの表情や言動から得た情報を整理して、求められていることを瞬時に判断する力が強化されます。またその判断をお客さまにおもてなしという上質な形と販売力で対応する力を高めることができます。こういった能力は、長い時間練習しても身につくものではありません。猶予のない短い時間と大会という緊張感との戦いがあるからこそ得られるものだと、私は考えています。

<3>売上向上につながる
私が関わらせていただいた方たちの多くが、大会出場後にそれまで以上の売上実績を出しています。その理由は、お客さまのこと、気持ちを考える接客に変わったからです。自分のことを考えてくれる接客をお客さまが嫌いな訳がありません。

<4>接客の評価を得られる
自分の接客を見てもらえることで、自分の接客の良い点や改善点、レベルの評価を受けることができます。また会社の人たちへのアピールにもなり、目指すキャリアの一歩を踏み出せるやもしれません。

沢山の方の気持ちを奮い立たせる接客ロールプレイング大会、その魅力は出場者の一人ひとりのモチベーションが長年蓄積してきたものなのだと思います。

大会の接客の傾向変化

「演出する接客」から「より自然な接客へ」


ここからは、審査員、また大会出場者の支援をする指導者の立場から、私見になりますが大会に見られる接客の変化を書こうと思います。
12年前、当時は、劇場型と称される、お芝居のような普段はやっていない過剰な演出の接客が多く見られました。販売員がずっと商品のことを語る一人芝居のように見えるものがあったり、靴の試着ではお客さまと一緒にスキップしたり、また笑い狙いのようなトークがあったと思います。大きな会場の舞台の上で、審査員や多くの観客の前で、自分の接客を見せるという「見せる接客」にする必要はあるのですが、とはいえ演出に偏重しやすかった頃がありました。そういった傾向から徐々に普段の接客により近いものを希求する声が挙がってきたように思います。お客さま役を務める役者のプロフィールやニーズ設定など含めて、主催者や関係者は声に対するたゆまない努力を続けてこられたと思います。大会ごとに接客の傾向や課題は出てきますが、その後はお客さまのニーズを引き出すためのコミュニケーション力が課題とされた年があったり、似通った接客になりやすくなると個性ある接客とは何か?に重きが置かれ年には、個性とユーモラスが混同する事態もありました。
最近になると、ブランドの体現力が求められる「印象」、傾聴力、共感力、受け答えなどの「コミュニケーション力」については、大方が標準的で、上位入賞者については優れた技術やマインドを有するレベルになっていると思います。

大会におけるこれからの課題

一番に挙げたい課題は「語い力」です。
お客さまのご要望に誠実に応えようとする人柄は手に取るように見えるのですが、豊富な言葉を持っていないために、その真意を上手くお客さまに表現したり、伝えることができていません。お時間があれば私の以前のコラムにその方法を書きましたので、お読みいただけると幸いです。

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次の課題は「販売力」です。
販売力は「商品情報」に尽きると言っても過言ではありません。その商品情報には商品知識と専門知識の2つがあります。

まずは、商品知識を十分に身につけていただきたいと思っています。トレンド情報のみに頼る商品知識に留まっているのは残念です。販売員の皆さま自身が商品に高い興味、関心を持って、自身で勉強して欲しいです。そのことで他社/他者との差異化が図られますし、プロの販売員としての存在感を高めることができます。
実はこの課題は、コミュニケーション力が向上した頃に現れやすくなっています。短い時間、どのタイミングでどのくらいの量の商品情報を話題にすればよいのか?という判断は難しく、また勇気を必要とする ということがあります。コミュニケーション力の高い人ほど、商品に関する情報へ話題を切り替えていくことが苦手のように思います。一所懸命にお客さまの話を聴くこと、情報を収集することに努力を重ねていると、販売力がおろそかになっているのかもしれません。商品知識の収集に加えて大切なことは、お客さまがご存じの一般論ではない「専門知識」をプロの販売員として得ておくということです。ファッション用語辞典などの専門書、著名なファッション・コーディネーターが書かれた記事、セミナーも知識の宝庫だと思います。読んだり参加して、知識の引き出しを増やしてください。



接客を一人でアップデートするくらい難しいことはありません。接客を考える特別な機会と、一緒に考え実際に体験する仲間が必要です。臆することなく接客ロールプレイング大会に出場して、他社の仲間とともに接客販売の醍醐味を味わい、売る力を向上させてみてください。

Nishimiyaのひとこと

テレビショッピングのような動画による販売、オンライン接客の受容が高まっています。それらを成功させるためには、リアルの高いレベルの接客販売力がモノを言います。その思いを支援させていただくために、弊社では接客ロールプレイング研修の動画DVD、eラーニングを今春から販売する予定です。価格や販売時期はまだ未定ですが、興味のある方、企業ご担当者はお気軽に問い合わせください。

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